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ブログ ~ ダイビング事故 ~

マスククリアが出来なくて起きた死亡事故は、どうすれば防げたのか?

マスククリアが出来なくて起きた死亡事故の対策|ダイビングショップアリエス

4月8日(火)に石垣島で、大阪在住の63歳の女性(以下、Aさん)がダイビングの事故に遭いました。

心肺停止の状態で病院に搬送され、その5日後の4月13日(日)に死亡が確認されました。

 

残念ながらダイビングでの死亡事故はそれほど珍しいものでは無く、海上保安庁の統計(以下のデータは海上保安庁の令和6年海難の現況と対策より)では、昨年は15人が死亡・行方不明となっているので、月に1名以上の方が亡くなっていることになる。

 

3月22日(土)も西伊豆の大瀬崎で仙台市在住の55歳の女性が亡くなっている。

この方は遠方からの弾丸ツアーで、一日4本潜り(事故は夕方5時頃)死因は心筋梗塞だったそうだ。

病気が原因で事故に遭う方は、圧倒的に持病を持っていない方が多い。

ダイビングは自分が想像するよりも身体的負荷が大きく、寝不足や飲酒、体力的に無理をすると、事故に繋がってしまう原因になる。

石垣島の事故の内容

今回の石垣島の事故で気になった点が、その発端となった原因だった。

事故の概要は以下の様なものでした。

「ダイビングで浮上した後に意識を失う 大阪府・60代女性が心肺停止

8日、石垣市の沖合でダイビングをしていた60代の女性が浮上したあとに意識を失い、心肺停止の状態で病院に運ばれました。

石垣海上保安部によりますと、意識不明の重体となっているのは大阪府に住む63歳の女性です。

女性は、8日午前8時ごろ市内の港から沖合に出て、ガイドらとともにダイビングをしていました。

そして2回目に潜った際、鼻と口を覆うマスクの中に水が入ってきたことから水を抜こうと海面に浮上しました。

その後、ガイドとともにおよそ50メートル離れた船に戻る途中に苦しそうな様子を見せ、意識を失ったということです。

女性は心肺停止の状態で消防によって病院に運ばれ、現在も意識が戻っていません」

4月9日TBSNEWSDIGより引用

 

そう、マスククリアが出来ないことで起きた死亡事故なのでした。

様々な事故事例を見ていて「あー、こんな難しい状況では、事故も防げないな」なんていうものはほとんどありません。

驚くほど簡単な原因が、大抵は複数重なり死亡を含め重大事故に繋がっている。

当店のブログでも今まで、セッティングミスやバディチェックをしなかったが為に起きた事故を載せてきました。

今回の事故を受け、石垣海保も「自分の健康状態を確認し、技量を把握した上での活動するように」呼びかけています。

では、なぜマスククリアという初歩的なスキルが原因で死亡事故が起きてしまったのか?

どうすれば防げたのかをお伝えしていきたいと思います。

事故はマスククリアが出来れば防げたかもしれない

マスククリアは、マスクの中に入った水を鼻から息を吐いて水を抜くというもの。

ダイビングライセンス取得講習でも最初の方にある基本的なスキル。

今回事故に遭われたダイバーの方のスキルレベルやブランクは不明だけれど、

報道から予測すると、本来水中でやるべきマスククリアの為に水面まで浮上をしていているので、初心者かあるいは技術不足、そしてある程度水深がある所から上がっているのではないかと考える。

この事故は水中で正常にマスククリアが出来れば防げたかもしれない事故なので、マスククリアについてお伝えしたい。

まずは、初歩的なマスククリアのお話から。

通常のマスククリアは、本当にプール講習を始めたばかりという方は失敗もするけれど、すぐに出来るようになってしまうことがほとんど。

マスクに水が入ったら、大きく息を吸った後に顔を下に向け、マスクを押さえながら、ゆっくりと鼻から息を吐きながら上を向いていく。

 

マスクを押さえる位置は二通り。

1つ目は、マスクのフレームの一番上を人差し指や中指を使用して顔に押し付けるもの。

この時に失敗としてあるのが、顔に押し付けるのではなくて、マスクを上方向にずらしてしまうということ。

これだとマスク自体が上にずれてしまい、時には鼻が少し出てしまって、じゃんじゃん水が入ってきてしまう。

あくまでも顔に対して正面から押すようにすること。

 

2つ目は、両手でマスクのフレームの左右の上下を人差し指と中指、親指を使って押さえ、エアを吐き始めると同時に、スカート(マスクの縁)の下側を1mm開ける位のイメージで持ち上げて抜くというもの。

この時の失敗がスカートを持ち上げすぎて、抜き切った瞬間にまた水が入ってしまうという事。

水はわずかな隙間があれば出ていくので、1mm位のイメージ(実際はもっと開いているので)で十分。

息を吐き切ると同時に、マスクを持ち上げるのをやめること。

 

この2つの方法では、少し水の抜けは少ないけれど、1つ目の方が、マスクを押し上げなければ失敗が少ない。

2つ目の方は、慣れないうちはスカートを開けすぎて、戻すタイミングが悪くて再度水が入ってきてしまうことが、初心者の人にはよくある。

 

両方に共通して失敗があるのが、息の吐き方。

小さく長く吐くのがコツなのだけれど、これを一気にドバっと吐いてしまう。

そうすると抜けが悪くなる。

また、鼻から息を吐かないとならないのに、口から吐いてしまうというのもある。

口を閉じていれば鼻から吐くのも簡単なのだけれど、ダイビング中はレギュレーターを咥えているので、常に口が開いている。

マスククリアで上手く水が抜けない人は、口から吐いてしまっている可能性も考え、その時は舌を上あごに押し当てながら吐くといい。

陸上で試しても分かるけれど、強く舌を上あごに押し当てれば、口が開いていても口から空気は出ないようになる。

初歩的なマスククリアが出来る人でも、マスククリアが出来なくてトラブルになる事がある。

次はそういった事例から。

ベテランダイバーに起きたマスクの入水トラブル

マスククリアのトラブルは、初心者だけではなくベテランダイバーにも起きる。

これは実際に当店で起きた事例。

そのゲスト(以下、Bさん)は本数的にも年数的にも多く、冬を除けばブランクも空かない方だった(その時はブランク明けではない)

 

慣れたダイバーばかりのチームで深場を目指しているとBさんが急に根の上で止まり動かなくなった。

「マスクの中に水が入って抜けない」という合図を送ってくる。

何度クリアしても、すぐに水が入ってきてしまう。

最初はフードにマスクのスカートが乗っているのかを疑ったがそうではなかった。

結果的にはマスクのスカートが内側に折れ曲がっていて、そこから入水していた。

なぜ、こんなことになったかと言えば、それは<マスクの付け方を間違えていた>からだった。

 

このブログをお読み頂いている方は、マスクの付け方に正しい順番があるのをご存知でしょうか?

きちんとしたインストラクターに習っていれば必ず教わっているはずなのだけれど、正しいマスクの付け方とは、

「最初に顔にマスクを当ててから、ストラップを後頭部に回す」というもの。

たったこれだけのことで、マスクの入水トラブルを防ぐことが出来ることがあるし、事故にならないかもしれない。

 

まずマスクを顔に先に付けるのは、正しい位置とスカート部分が折れ曲がらないようにするため。

後頭部のストラップを付けてからマスクを付けているダイバーをよく見るけれど、鼻など凹凸のある顔側はマスクを移動させずらいし、上から下げるわけだから、スカートの下側が内側にまくれやすい。

特にマスクをきつくしている人は、顔側にマスクを回しづらく、強く引きすぎてストラップがずれたり、外れたりしてしまう人もいる。

 

ダイビングのマスクは、よほど流れが強く、ずれてしまうような状況で無ければきつくし過ぎない方がいい。

水圧が掛かれば自然とフィットするし、無意識に鼻から息を吐いても、締め付けが弱ければ勝手にマスクが開いてエアは逃げていく。

きつくし過ぎている方が、かえってマスクは膨張した空気の逃げ場が無くてマスクがずれやすくなってしまう。

ずれたマスクを水中で直す方法

Aさんもマスククリア自体は出来たけれど、水中でマスクがずれていて、それに気が付かなかったか、直す方法が分からなくて水面まで出ようとした可能性があると思う。

緊急事態、周りにダイバーがいなくてエア切れになったとか以外は、トラブルが起きても水中で対処しなければならない。

トラブルが起きた時に反射的に水面に出ようとすると、事故に繋がる可能性が高くなる。

 

鼻から息を強く吐きすぎたりして、マスクが上にずれてしまって入水する時に、どう直したらいいのか?

NGなのはマスクが顔に付いたまま、グイっと下におろそうとすること。

これだと、動いたような感じがしても、顔の表面が動いているだけで、実際にはマスクの位置は変わっていなかったり、スカートの下が内側にまくれて、余計悪化する可能性がある。

 

正しくはマスクに水を入れて、完全に顔から離して位置を直して、マスククリアをする。

どうしても目に海水が当たるのが嫌な場合は、マスクのスカート下側に親指を入れて、人差し指と挟んで下に引くといい。

多少圧力が掛かっているので引きづらい時もあるし、水も半分くらいは入るけれど、完全に目が海水で塞がれることはない。

 

マスクに水が入り、鼻から海水を飲むと、かなりダイビングに慣れている人でも、痛かったり苦しくなったりする。

また鼻に海水があると、本来は関係がないのだけれど「呼吸がしづらい」と感じる人もいる。

陸上で練習が出来るので、意図的に鼻の呼吸を止めて、口で息をする練習をしてみるといい。

これが水中でも出来るようになると、マスクを顔から離した時に鼻の息を止めることが出来れば、鼻から海水を飲むこともなく、スムーズに直すことが出来る様になる。

事故に遭わないための考え方

Aさんの事故を受けて、石垣海上保安庁も、

「自身の健康状態を確認し、技量を把握した上で活動するよう呼びかけている」とあった。

大瀬崎の事故は自分では健康状態に問題が無いと思っていたかもしれないけれど、行程的に無理をしたのが大きな原因ではないかと感じる。

そして、石垣島のAさんについて言えば、やはりスキル不足が原因でしょう。

 

もう20年以上テクニカルダイビングのインストラクターをしている人が、

「ダイビング先進国の中で、日本人のダイバーのレベルが一番低い」と言っていた。

10年近く前、日本レジャーダイビング協会から「水中ガイドの役割」という声明が出された。

内容は「ガイドは水中の案内が仕事であり、ゲストダイバーのスキルを補うことを仕事としていません」「自分が目的とする海に潜れる技術を身に付けてから来てください」といったものだった。

自分のスキルに合わない海に潜りに行ってしまうダイバーが多くなければ、こんな声明は出なかったでしょう。

ただ、レベルが低いのが標準的過ぎて、それに気付かないダイバーの方も多いでしょう。

 

こんな論調を聞いたことがある。

「ゲストダイバーのスキルレベルに関係なく、どんな海でも連れて行ってくれるのが、良いダイビングショップだ」

<きちんと練習をして自分の行きたい海に潜れるスキルを身に付けてからダイビング行く>

昔は当たり前だったことが行われなくなってしまった。

そのような考え方をするダイバーは、自分が楽しめないばかりか、他の潜れるダイバーの足を引っ張り、楽しみを奪ってしまう。

当然スキル以上の海に行けば、事故などトラブルに遭う可能性が高くなる。

 

また一部に、危険をおかしてゲストダイバーを水中に連れて行ってしまう現地ダイビングサービスがあるのも事実。

ある時西伊豆の田子で経験本数6本というダイバーが、外海のメインポイント沖根に行くボートに乗っていた。

沖根は潜降ロープもあり、根頭は10mほどで、夏から初冬にかけては数千のキンギョハナダイが群れ、時には回遊魚も周って来て、迫力のある水中シーンが見られる。

しかし、時には流れが出ることもあり、潜降ロープを離して落下すれば、そこは水深40mもある水底になってしまう。

もちろんあまり強い流れがあればポイント変更をするのかもしれないけれど、以前マリンダイビングwebのストップ潜水事故という記事の中で、アドバンス講習中にロープ潜降をしなかったばかりに、水底30mで亡くなっていたというのを読んだことがある。

ただ、ロープを掴まなかったというだけで事故に遭ったのだった。

これがロープさえ握っていれば死なずに済んだかもしれない。

 

だがガイドさんにも苦しい部分はあると思う。

スキル的に厳しくても、良い海を見せなければ、今時はネット上に、

「あの海は大した魚がいなかった」

「あのダイビングサービスのガイドはつまらない」などと書かれてしまうこともある。

低い評価が付けば経営にも影響する。

 

当店にも自分のスキルレベルに合わない海に連れて行ってくれと言われることもあるけれど、その時は「練習をして、潜れる実力が付いてから行きましょう」とお伝えしている。

そのまま当店に来なくなってしまう方も多いけれど、ダイビングとはそういうものなので、お客様が減ったとしても仕方がない。

 

ただそういったダイバーを増やしてしまったのは、他ならないいい加減な講習や知識を教えたインストラクターやガイドなどの職業ダイバー達だ。

ある大手ダイビングショップではきちんと教えていないという情報があるが、その店では事故が多いように見える。

いい加減な講習が自分たちに跳ね返ってきている。

安全なダイビングのために出来ること

ダイビングでは、自分の命は自分で守るしかない。

目の前でトラブルが起きればインストラクターやガイドも何とかしてくれるかもしれない。

だけれど、ダイビング中のほとんどの時間をゲストの前にいるスタッフはトラブルに気付かない可能性が高い。

今、きちんとダイビングを教えてくれるお店は少なくなってしまったけれど、自分の命を守るためにも、楽しむためにも、”本物のインストラクター”がいるお店を探して、ダイビングを習ってください。

自分一人でいくら潜っても覚えられるものでは無いので、方法はそれしかありません。

 

ダイビングの安全性を高める簡単な2つの方法を紹介します。

一つ目はバディチェック(当店ではセルフチェック)を正しい内容で確実に行うこと。

「えっ、そんなこと?」と思われた方もいることでしょう。

ブログ「セッティングミスで起きたダイビング事故」でも書いたように、これが意外なほど事故を防いでくれます。

ただし正しい順番と内容でやらなければ意味がありません。

 

そしてアリエスではバディチェックと呼ばずに、セルフチェックと言い、バディ同士ではなく自分自身で確認をしてもらっている。

それは<安全確認を人任せにしないため>

特に初心者の方だと、バディで行っていると、一人の人はしっかり出来ているのだけど、もう一人の人が覚えていなくて復唱しているだけというのを見る。これではいつまで経っても覚えられない。

また、バルブを開ける時に「開くのどっちだっけー?」なんて言いながらやっていることもある。

実際、海保の資料の中でも「バルブを開けるのをバディに任せていて、半開きで呼吸困難になり、溺水した」という事例が載っている。

安全は人任せではなく、自分で責任を持つこと。

 

もう一つがバディ意識を持つこと。

ダイビングの事故はロスト、グループからはぐれて一人になってから多く起きているという統計がある。

例えばレギュが外れて自分では拾えなくても、バディからはレギュが見えているので、すぐに拾ってもらえるし、相手のオクトパスを咥えることも出来る。

本当に上手いダイバーならバディ意識や位置取りの重要性も理解しているのだけれど、ぱっと見が上手い”潜れるダイバー”だと、「自分で好き勝手に動けるのが上手いダイバー」とばかりに、あっちこっちに行ってしまい、全然バディを見ていないことがある。

 

正しいダイビングを教えてくれる、本物のインストラクターを見つけてダイビングを教えてもらってください。

見つけるのは本当に難しくなってしまったかもしれないけれど、必ず通える範囲にはいるはず。

ダイビングはたった<マスククリアが上手く出来なかった>だけで死ぬ可能性がある場所でやっているということを忘れないでください。

このブログが少しでも安全の向上に役立ちますように。

ダイビングで命を落とされた方たちのご冥福をお祈りし、

一件でも事故が少なくなるように願います。

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