ブログ ～ 東伊豆・赤沢ダイビングツアー ～

ダイビングショップの中には、事故の話題をタブー視するところもあるでしょうし、お客様の中にも、そういった話を聞きたくないという方もいるでしょう。

しかしアリエスでは、事故の内容を知り、なにが原因で、どうすれば防げたのかを知ることが重要だと考えている。

事故のニュースでは原因が書いていないことも多いので、ちょうど前々回のブログで書いたように、原因が書いてあれば対処方法を考えることも出来る。

ダイビングは楽しいことだけではない。

一定のリスクがある活動なのだから、「ダイビングは楽しいことばかりで、危ないことなんてありませんよ！」というスタンスは問題があると思う。

その為、ダイビングライセンス取得の説明の時から、リスクについてご説明をして、それでもダイビングを始めたいかをお聞きしている。

この日、一本目のエントリー直後にちょっとしたトラブルがあった。

アクアラングのアイスリー（インフレーターがレバータイプのBC）を使用していたお客様が「エアを入れると抜けてしまう」という状態になった。

オーラルインフレーションのホースの付け根が緩んでいたのが原因だったのだけれど、

それが分かっても自分ではなかなか手が届かずに直せない。

この時はそれに気づいた他のゲストが締め直してくれた。

そして、先頭で泳いでいてトラブルに気付いていなかった私を、他のゲストが合図して教えてくれた。

皆さんの行動でトラブルに対処が出来た。

良いグループは全体の力でダイビングを安全にしてくれる。

こういったグループになっていくには、もちろんショップ側が安全について理解していてお伝えしていかなければならないのだけど、お客様の安全意識が高くなければ実際に行動が出来ない。

2022年に千葉の館山でダイバーの漂流事故が起きた。

この事故でまずかったのが、ゲストが一人いないことに気付いたのが、ツアーの解散時だったこと。

解散するまでゲストが一人いないことに気付かないことなんてあり得るのだろうか？

この時のグループはインストラクター一人に対してゲストが9名。

人数が多くてもバディシステムが機能していれば、いなくなったことをスタッフに伝えることが出来、長い漂流にはならず、海上保安庁に通報しなくても済んだことでしょう。

海保への通報から約2時間15分後、61歳の男性は無事に救助された。

この事故は9月で、水温は20℃弱、男性はウエットスーツだったので、これがもっと発見が遅かったり、水温が低いタイミング（近海では暑い時期でも急に冷たい潮が来ることがある）で起きたことであれば、命にも関わったかもしれない。

ダイビングは一つのトラブルも起きずに終えられるのが当たり前。

ブログ「セッティングミスで起きたダイビング事故」などでもお伝えしてきた通り、ダイビングはほんの小さなミスの積み重ねが大きな事故を引き起こす。

アリエスではツアー時に起きたトラブルを、その場でも、なぜ起きて、どうすれば防げたのかをお伝えするようにしている。

また、自分がいたツアー時だけの事例ではすべてを学ぶことが出来ないので、ブログでもお伝えしているようにしている。

参加前に当店のご利用案内でもお伝えしているけれど、お客様を揶揄するのが目的ではなく、トラブルの事例と対策を知って、いながらにしても安全知識を向上させて欲しいという意図から行っている。

身体的スキルだけがどんなに上手くなっても、思考的スキルが上がらないと安全なダイビングは出来ない。

思考的スキルは、身体的スキルよりも圧倒的に覚えることが多く、時間が掛かる。

それでも全てのダイバーの方にマスターして頂いて、皆さんがダイビングを終えるその日まで無事に潜っていって欲しいと思う。