ブログ ～ ダイビングトラブル ～

5月24日（月）昼過ぎに一本の電話が鳴った。

「うちの娘のことなんですが…」と女性は話し始めた。

「娘が昨晩海から帰って来て、朝テーブルの上を見たら、ダイビング器材の117万円のローンを組んだ明細書が置いてあったんです」

「最初、17万かと思って、よく見たら117万でびっくりして…。これって大丈夫なんでしょうか？」

大丈夫かもしれないし、駄目かもしれない…(´-ω-`)

そして本当の問題は117万という料金だけではない。

「お母さん、そのダイビングショップの名前を教えてもらえますか？うちに情報があるかもしれないので」

「えっ？そんなこと言っていいのかしら…。〇〇〇〇〇〇〇というところです」

「聞いたことないですね。どちらにあるお店ですか？」

「（九州の都市）です」

当店では時折こういう電話を頂く。

そして、新規のお客様の3分の2はダイバーのお客様というのもあって、他店の生の情報が入ってくる。

「ダイビング器材の値段って、こんなにするものなのでしょうか？」

「そうですね、ドライスーツだけでも10万くらいのものもあれば、30万以上するものもあるので買うものによっては。ドライスーツの価格はいくらになっていますか？メーカーや商品名はありますか？」

「ドライスーツは31万200円で、横にはオーダーと3.5ｍｍと書いてあります」

うーん、ワールドダイブで最高級品なら、この位の価格がするが、中にはペロペロの安いスーツを高い値段で売っているお店もあるので、これだけの情報では分からない…(-"-)

「買ってきたものが、えっと1、2、3…、30品あって、中には冬用と書いてあるものもあるんです。娘は寮生活が長くて、世間知らずっていうか…」

うーん、30品は多い。

何が30品もあるのか分からないが、とにかく全て必要な器材を一切合切まとめて買った感じだろうか。

聞けばこのダイビングショップのダイビングライセンス取得コースの料金は3万ほどとホームページに載っていたらしい。

で、実際にかかったのは20万。

この料金には器材は含まれてないそうだ。

最近よく聞く手法としては、

「ステップアップコースは20万円なんですけど、ダイビングライセンス取得コースと一緒に申し込むと15万円になるんで、すごい得なんですよ！」

というもの。

これを聞いて、「えっ？アドバンスコースって20万もしないでしょ？」と思った方。

最近はPADIで言うところのアドバンスコースを6日間でやっていて、20～30万円の価格でやっているお店があるのです(^_^)

「クーリングオフとかでキャンセルとか出来るんでしょうか？」

「うーん、対面で買っているので難しいかもしれませんね。消費者センターとかに相談してはどうでしょうか？」

24歳になる娘さんは、海洋実習の後、お店主催の食事会に参加していて帰りが遅く、朝から会社に行ったので会っていないらしい。

海洋実習の後に食事会で遅くなる？

そんな疲れている時に開催する？

うがった見方をすると、その食事会も家に帰るのを遅くして、家族にダイビング器材をローンを組んで買ったのを話されないような作戦のような気がする(^_^)

電話を切った後、このダイビングショップのホームページを見てみた。

すると、お母さんが言っていたのは会社名で、ダイビングショップは別の名前だった。

そして、やっぱり”あの指導団体”だった。

当店に入ってくる他店の情報で、

ダイビングライセンス取得コースが異常に安い　➤　実際は高くなった　➤　百数十万の器材をローンで組んで買うように言われた。

というのが、この指導団体に多い。

そしてショップの名前は違うが、東京にもお店があった。

どこかで見たことある名前だなーと思っていたら、

少し前に十年来の常連さんから、

「医療系の雑誌に付いてきたチラシ。安すぎて不安になるよね～」と送られてきた写真の店だった。それが最初の写真。

冒頭に書いた「本当の問題は117万という高額な器材を買ったことではない」ということ。

本当の問題は、まず117万の器材がその価値を持っているかどうか。

そして、そのダイビングショップのスタッフが、娘さんが後悔などすることがないよう、今後ダイビングが楽しんでいけるかということ。

もし、このお店がゲストにダイビングを楽しんでもらうことが目的ではなく、

金儲けだけが目的でダイビング器材を売っていた場合は、

このゲストの”一番美味しいところ”は海洋実習終了の日に終わってしまった。

金儲けが目的のお店では、利益が少ないダイビングツアーは力を入れてやりたがらない。

インストラクターコースなどもやっている場合は、まだ続きがあるが。

この娘さんが今後もダイビングが楽しめるかどうかは分からない。

気になったので、このダイビングショップのグーグルマップの口コミを見てみた。

そこに一つの結末が書いてあった。

ある女性の口コミからの引用。

この女性は器材を購入しないで、プール講習に進んだ。

プール講習後「このまま続ける？」とスタッフから聞かれたそうだ。

そりゃ続けるだろう。

プールで挫折したのならともかく、海にも行ってないのだから。

女性はこう答えた。

「海にも入っていないから、スーツとかはいらないですけど、ライセンスは欲しいです」

するとスタッフは、

「続ける気がないならライセンスは取らなくていい」

「高いからやめておいた方がいい」

（いや、安い料金で取れると書いてあったから来たんだって）

「みんなの熱についていけないと思う」

などと言われて、ライセンスを取らない方向にもっていかれたらしい。

そして、この時初めて有料の会員制というのを知ったそう。

ダイビングショップが思い描く”既定路線”から、あなたが外れた時、

今まで笑顔を絶やさず、親切で優しかったスタッフは一変する。

これからダイビングライセンスを取得する方は、

夢にも2～3万で本当にCカードが取れるとは思わないでください。

恐らく、そんなダイビングショップはこの世に存在しないですから(￣д￣)